インプルーヴ・エヴリウェアはユーチューブに100本以上のパフォーマンスビデオをアップして、精力的に活動しているパフォーマンス集団だ。ショッピングモールなどで自然発生的にゲリラミュージカルを行う”突然ミュージカル”とか、ニューヨークやパリの繁華街や公園で、人々が動作を止める”フローズン・ピープル”などで人気を博している。しかしなんといっても彼らの代表作は、”パンツプロジェクト”だろう。
これは2002年から断続的に冬に地下鉄で行なうフラシュ・モブで、上半身はコート等を着込んだまま、ズボンを脱ぎ、パンツ姿で地下鉄に乗る、あるいは地下鉄に乗ってからジーンズやスパッツを脱ぎ、そのまま足を組んだり、股を開いたり、ズボンを履いているときと変わらない状態で、フツーに電車に乗るといったパフォーマンスを行う。
当然、パフォーマーでない一般の乗客は平静でいられない。コートを脱ぐようなさり気なさで、パッパとズボンを脱ぐ男性を見まいと見まいとして気にしている女性、笑い転げる人、くっきりとしたヒップラインに釘付けになっている男性、両側で男性にズボンを脱がれて、いたたまれずに逃げ出す男性。
普段は、知らない人同士はけして関心を向け合うことをしない地下鉄という公共の場が、パンツ人間の出現によって、全く変容してしまう。これは誰がなんと言おうとアートだ。
No Pants Subway Ride 2006
http://youtu.be/P7snbtwG5wc
しかしアートだろうが、ジョークだろうが、日本でこのパフォーマンスをしようとすると、必ず”公序良俗”が阻むに違いない。
と心配していたら、ニューヨークでも2006年のパフォーマンスでは、8人の逮捕者を出してしまった。インプルーヴ・エヴリウェアのエライところは、逮捕の模様もビデオに収め、パフォーマンスの一部にしてしまったことだ。パンツ姿のまま、後ろ手に手錠を掛けられ、拍手の中、連行されていくパフォーマーたちはけして惨めではない。(この逮捕劇のせいか、インプルーヴ・エヴリウェアの突然ミュージカルにはよく警察官が登場する。)
しかも翌年にもパフォーマンスは続行される。翌々2008年からは音楽にタイラー・ウォーカーを迎え、パフォーマンス前のガイダンスの模様を入れたりと、パフォーマンスが市民に解放され、洗練されていく様子がわかる。
Uncensored No Underwear Subway Ride 2010
上記の2010年版は一般の乗客の反応がしっかり撮れていて、パフォーマンスとして一番成功している。これに気をよくしたのか、インプルーヴ・エヴリウェア自ら2010年版の偽作も製作している。偽作では、パンツすら履いていないように見えるようパンツを肌色に着色し、モザイクをかけて”修正版”と銘打ち、エイプリルフールに当てている。こうやって見ると、モザイク修正したほうががじつに卑猥に見える。
No Pants Subway Ride 2011
http://youtu.be/yoajdUEYBIE
2011年には5,000人以上のパフォーマーを集め、世界22カ国48都市で展開した。
2011年12月26日
