制作の基礎
頑張って動画を撮ってユーチューブにアップしたものの、1年経っても再生回数が500回にも満たず、何か侘びしさが漂う動画をよく見かけます。一方で、ニッチなテーマなのに、10万回を超える再生回数を誇る元気な動画もあったりして。その違いは何なのでしょうか?
動画はタダ撮るだけではダメ
見る人が惹きつけられる映像とは、ただ画面のきれいな映像ではありません。まず、何が言いたいのか、意図が視覚的にしっかり伝わることが前提条件です。ただ、カメラの前で喋るだけで、話している内容を視覚化しなければ、言葉は説得力を失い、すぐに蒸発してしまいます。
見る人にわかりやすい映像。当たり前のことですが、撮影者には往々にしてこのポイントを外しがちです。とくに撮影者自身がよく熟知しているものを撮る場合、それを初めて見る人の目線を忘れてしまいます。だから、撮影者が撮りたいものだけを撮り、あるいは、撮りやすいものだけを撮り、その結果、初めて見る人には何がなんだかわからない映像になってしまうのです。
1. シナリオを作る
見る人にわかりやすい映像を作るためには、事前にシナリオを作って検討する必要があります。
シナリオでは、何を伝えるのか、映像のテーマを簡潔な言葉で表してみます。そしてテーマを人に伝えるために、何をどう見せるとわかりやすいか、効果的かを考え、シーンを組み立てていきます。
2. 絵コンテを作る
シーンを組み立てたら、絵コンテを描いてみます。上手な絵を描く必要ありませんが、撮るべきポイントと流れがわかるように描きます。できた絵コンテを詳細に検討し、撮影不能なシーンはないか、必要なシーンは抜けていないか、洗い出し、絵コンテを仕上げていきます。そして撮影時に必要なもの、撮影の順番を決めます。
3. 絵コンテに沿って撮影をする
基本的に絵コンテに沿って、撮影します。その上で、現場や当日の条件・思いつきを加味して、必要と思われるシーンをどんどん撮り足していきます。
4. 映像を編集する
編集は映像の品質を決定する非常に重要な作業であるにもかかわらず、手間と技術が必要なため、軽視されがちです。映像制作会社でさえ、制作コストを下げるため、この工程を省いて”格安”を実現しようとします。その結果、見る気になれない動画が量産されるのです。
基本的に絵コンテを元に編集しますが、絵コンテをなぞるのではなく、テーマ重視で行います。テーマをより際立たせるために、撮影した素材を大胆に取捨選択し、映像を再構成していきます。
5. ユーチューブを攻略せよ
順番としては、ナレーションと字幕の付け方になりますが、その前に、発信の仕方について押さえておきます。
映像発信にはまず、ユーチューブの利用を考慮してください。
ユーチューブは日本においても、訪問者数ランキングでは常に上位に食い込む人気サイトで、月間2,502万人の訪問者数*1を誇ります。こうした集客力が土台となって、ユーチューブ発のが生まれているのです。ですから、オンライ動画を自社サイトやfacebookにアップするだけではなく、ユーザーの間口を広げるという意味で、利用してください。
しかし冒頭にも述べたような、年間500回未満という侘びしい動画群が示すように、ユーチューブにただアップロードするだけでは足りません。いかに見てもらうか、いかにユーチューブを攻略するかということが重要になります。
ユーチューブと他の人気サイトとの最大の違いは、1人あたりの滞在時間が1時間20分~2時間*1と長いことにあります。(一番人気のFacebookでさえ、16分*2)
ユーチューブの動画は通常、1本最大15分ですから、訪問者は1回の訪問で平均5~6本くらいは見ていることになります。つまり訪問者はお目当だけを見るのではなく、他の動画も見ているのです。何を、どうやって探して、見るのでしょうか?
カテゴリー別の分類や検索機能を使う場合もあるでしょうが、一番手近なのは、一度見た映像の右カラムに表示される関連動画でしょう。実際、人気動画の統計情報を見ると、関連動画が加わるたびに、再生回数を伸ばす傾向が見てとれます。
右カラムの関連動画には、サムネイルの他に再生回数も表示されます。つまりページごとに関連動画の人気ランキングが表示されるのです。そして大抵は1位と2位の差が歴然としています。これはそれぞれの動画のアップロード時期に関係なく、概ね観察される傾向です。
このことから訪問者の次のような行動パタンーが浮かび上がってきます。
人は最初の動画を見た後、関連動画から次にみるものを探す。その際、再生回数の大きい動画を選ぶ傾向がある。
ユーチューブでは、数が数を呼んでいるのです。
つまり、ユーチューブ攻略の鍵は、最初に数を呼ぶことにある、と言えます。
6. 英語字幕を入れる
オンライン動画はテレビと違って、見る人は何かをしながら見るのではなく、かなり画面に集中して見る傾向があると言われています。外国の動画を見る機会が多いからでしょう。ですから、言葉よりも映像そのもので表現し切ることが重要です。
とはいっても、日本人を顧客にしたい場合、より詳しく伝えるために、言葉を入れたいこともあるでしょう。しかし製作者の意図とは別に、外国人が必ず見にくるので、逆に、こうした外国人をも巻き込む動画作りをする得策です。というのは、前段で述べたように、再生回数を指標にして、何を見るか決めている人が多いからです。つまり数を呼ぶための土台の数を作るために、外国人を呼び込む戦略です。
具体的に何をすべきかというと、日本語のナレーションや字幕には英語字幕も重ねるということです。
*1 ニールセン・ネットレイティングス「日本のオンラインメディアの現状」から2010年4月のデータ
*2 Doubleclick Ad Plannerの調査から2011年2月のデータ