なぜ小さいの? 地方自治体のバナー広告

なぜ、小さいの? 地方自治体のバナー広告
地方自治体や商工会議所のバナー広告はサイズが小さく、ファイル容量もきびしく制限されているため、会社名を書くのがやっとです。すでに知られている地元業者なら、ユーザーに存在を思い出してもらうというメリットはあるかもしれませんが、それ以上の広告効果は期待できません。なのに、なぜ、地方自治体のバナー広告は小さいのでしょうか。

バナーの国際標準規格

バナーには、IAB(Interactive Advertising Bureau)という国際機関が定めた国際標準規格があります。
IAB は2年ごとに規格を見直し、本稿執筆時(2019年10月)では、2019年4月に発表された規格があります。しかしそれは、日本の公共団体のホームページでは普及していないレスポンシブデザインを前提にしているので、日本の実情に近い2015年の規格のうち一部を紹介します。

88px x 31px
Micro Bar
120px x 60px
Button 2
140px x 50px
地方自治体バナー
180px x 60px
地方自治体バナー
180px x 150px
Rectangle
300px x 250px
Midium Rectangle
728px x 90px
Leader Board
160px x 600px
Skyscraper
300px x 600px
Half Page Ad

Google や Yahoo も IAB に加盟しているので、日本では上記の広告サイズが主流でした。(今は、IAB の最新規格に準じ、さまざまなデバイスに対応してフレキシブルにサイズが変わる広告が台頭しています。)
地方自治体などで多く採用されている 横幅140px~180px 高さ50px~60px級に該当するものは、IAB の定めるボタンに近いといえますが、国際標準規格に準じているわけではなさそうです。
もちろん、国際標準規格に準じていなくても問題はありません。ですが、ボタンサイズしか許されないのであれば、そんなサイズで広告効果のある業者は限られるわけで、バナー広告で歳入を増大させられない自治体があっても不思議ではありません。

みんなの公共サイト運用ガイドライン

地方自治体のバナー広告のサイズは、日本工業規格(JIS)に準じているという人がいます。
地方自治体のホームページがJIS規格に準じて作られているというのは、概ねほんとうです。

総務省は、国及び地方公共団体等公的機関のホームページが「ウェブアクセシビリティ」に対応するよう、「みんなの公共サイト運用ガイドライン」を作成しています。

ウェブアクセシビリティとは、高齢者や障害者を含めて、誰もがホームページ等で提供される情報や機能を支障なく利用できることを意味します。情報を提供する側がウェブアクセシビリティに配慮して適切に対応をしていないと、高齢者や障害者が、ホームページ等から例えば避難場所に関する情報を取得できなかったり、パソコン等による手続きができないという問題等が発生し、社会生活で多大な不利益が発生したり、災害時等に必要な情報が届かない状況となれば生命の危機に直面する可能性があります。

上記ガイドラインでは、地方自治体等がホームページを作成する際、高齢者や障害者を含む誰もが利用できるものとするための基準として定めた JIS X 8341-3:2016 というJIS規格に準じるように求めています。
JIS X 8341-3:2016 は、ISO/IEC国際規格 ISO/IEC 40500 と完全に一致しています。この ISO/IEC 40500 の中身は、W3C(World Wide Web Consortium) がウェブアクセシビリティに関するガイドラインとして勧告した WCAG 2.0 です。
ですから、
JIS X 8341-3:2016 = ISO/IEC 40500 = WCAG 2.0 = 世界標準の「ウェブアクセシビリティ」
という関係になります。そして、地方自治体のホームページは、その JIS X 8341-3:2016 に対応すべく作成されているはずです。

JIS X 8341-3:2016

WCAG 2.0

では、この JIS X 8341-3:2016 にバナー広告のサイズの規格があるのでしょうか?
ありません。念のために付け加えると、WCAG 2.0 にも、バナー広告のサイズを規定した部分はありません。
どちらも、高齢者や障害者を含む全員のウェブアクセシビリティの基準であるので、バナー広告のサイズなど書いていないのは、当たり前の話です。

なぜ、小さいの? 地方自治体のバナー広告

改めて、地方自治体のバナー広告がなぜ小さいのか考えてみます。
やはり小さいサイズの方が、狭い広告スペースに広告を詰め込んで、掲載料を取れるからでしょう。しかも、ページの下の方に並べておけば目立たず、「広告だらけ」という印象をが受けません。

しかし企業名しか書けない小さな広告バナーでは、無名の企業は広告効果を期待できません。
結果として、広告主が集まりにくくなり、地方自治体の広告スペースに空きが生じています。

地方自治体や商工会議所は、その地方でもっとも信頼度の高く、地域と密着している公共団体です。そうした公共団体のホームページにとって、単なるアクセス数ではなく、アクセスの質の高さこそ、大事な資産です。この貴重な資産は生かすべく、地元業者のために、広告スペースを見直すことをお勧めします。

まとめ

地方自治体は、国際標準規格やJIS規格とは無関係に、バナー広告のサイズを決めています。地方自治体は歳入を増大させるべく、1件あたりの広告サイズを小さくして、広告枠を増やしています。しかしそれでは、サイズが小さすぎて企業名しか書けないため、著名な企業以外、広告効果が期待できません。結果として広告主が集まりにくく、広告枠が埋まらない状況になっています。


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