Webページで雪見はいかが?

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田子の浦にうちいでて見れば白妙の 富士の高嶺に雪はふりつつ

百人一首でおなじみの山部赤人の和歌です。といっても、これはアレンジバージョンで、オリジナルは万葉集の

田子の浦ゆ うち出でてみれば 真白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける

です。

万葉集の昔から、雪を愛で楽しむ雪見の習慣はあったんでしょうね。

でも、これが歌合(うたあわせ)となると、雪見は死闘の戦場になります。
歌合というのは、歌人たちを左右の陣地に配置し、それぞれが詠んだ歌を各一首ずつ組み合わせて、判者(はんじゃ)が批評、優劣を決した文学的競技です。
そんな歌合から生まれたスター歌人の一人が、後鳥羽院宮内卿(ごとばのいんくないきょう)という若い女性。
優れた歌詠みであった後鳥羽院は、彼女の歌才のほれ込み、女官として召し抱えて、自身が主催する歌合では必ず登板させました。

薄く濃き野辺のみどりの若草に 跡まで見ゆる雪のむら消え

当時の歌壇のトレンドは本歌取り。
本歌取りとは、古歌のフレーズを盛り込んで古歌の描いた情景を想起させつつ、本歌とは違うイメージを重ね合わせるという超絶技巧です。本歌取りを成功させるためには、事前に古典を徹底的にリサーチしなければなりません。
頻繁なローテーションの中で、後鳥羽院宮内卿はからだを壊しながら、猛烈なリサーチを繰り返しました。そしてついに過労死?してしまったとか。合掌。